東京長高会 メルマガ2009年6月号

 

東京長高会は関東在住の長野高校出身者による交流会です。

当会は同窓の交流を促進するため定期的に講演会を企画し、隔月にメルマガを

配信しています。

今後の配信を希望されない方は以下にご連絡いただければ以降は配信をいたし

ません。

               東京長高会 連絡係 柳町明敏

           e-mail: akitoshi.yanagimachi@ninus.ocn.ne.jp

 

この6月号の、

学友だより≫は、19回の窪田彰様から「故郷の山と幼なじみの友の死」と

題してご寄稿いただきました。

学年だより≫には21回の箕輪和子様から、長野で開かれた卒業40周年同

期会についてご寄稿いただきました。

≪春の講演会を聴いて≫には、5月23日に開かれた春の講演会で、今年の担

当学年である34回山口芳泰様(弁護士)並びに14回の北澤宏一 様(日本

科学技術振興機構理事長)の講演感想を載せました。

≪幹事会だより≫では、学年幹事会と秋の講演会についてのご案内です。 

 

**********≪学友だより≫**********

このコラムでは、同窓から記事を寄せていただいております。

この度は、錦糸町で精神科専門の「クボタクリニック」を開業してお

られる19回の窪田彰様からご寄稿いただきました。

窪田様は当会の副会長でもあります。

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故郷の山と幼なじみの友の追悼

 

      

19回窪田

 

昨年は、ついに還暦を迎えました。かつては還暦とはとんでもない年寄りだ

と思っていましたが、自分がその歳になってみると、まだ若いじゃないかと勝

手に思っています。それでも、自分が歳をとったなと思うのは、時々故郷の風

景が脳裏によみがえることがあるからです。その風景の一つが、長野から白馬

へのバスが峠を越えた瞬間に見えた、圧倒的な迫力の真っ白な北アルプス連山

でした。遠い昔大学生の頃に、スキーをしに八方尾根に行った時に出会った、

印象的な光景だったと思います。今では、私は故郷を離れて東京錦糸町で精神

科医としてクリニックを開業していますが、あれから40年の月日が経つにも

かかわらず、真っ白な山々が屏風のように心に迫ってくるのでした。

それで、昨年10月に思い立って行ってみることにしました。何処の峠かは

よく覚えていませんでしたが、峠の道は多くはありません。鬼無里の川をさか

のぼってゆく白馬への道を走って見ましたら、その思い出の峠に立って真っ白

な北アルプス連山を見ることが出来ました。しかし不思議でした。あんなに大

きいと思っていた山々が、思ったほどには大きくは見えなかったのです。ちょ

っと拍子抜けでした。きっと、40年の歳月が心の中で山を育てていたのだと

思いました。

そして、その夜は長野高校時代の同期の丸田勉君の経営する小川村の森の宿

「林りん館」に泊めていただきました。この宿がまた北アルプス連山がとても

よく見える、小川村の尾根筋に建っていたのです。部屋の窓から夕なずむ白い

山々が赤く染まるのを、ゆっくりと眺めることが出来ました。数十年ぶりに丸

田君にも会って、優しい仙人のような変貌振りに感動して帰ってきました。

長高会の皆様も、雄大な北アルプスを眺めに泊まりに行きませんか。「林り

ん館」の電話は「026−269−3455」です。一泊2食で7500円と

安かった。木の香りがする新しい清潔な宿でした。

さて、この故郷の山を訪ねようとした時に、とてもショックなことが起きま

した。私とは、小学校の1年生から同級で中学校も、そして長野高校も共に学

び共に医師の世界へ進んだ、幼なじみの青木一君が亡くなったのです。彼は、

現役の中野市の市長でした。青木君は、歯科医師として中野市で活躍すると共

に、中野市が市町村合併で大きく変貌する時に市長に当選したのでした。彼の

家は、祖父の代からの政治家の家系であり、お父様も歯科医師から市長を勤め

られた立派な人でした。そのお父様の血を継いだのか、市長になってからの青

木君の奮闘振りには、目覚しいものがありました。街の活動に積極的に参加し、

長野の野球チームのホームグラウンドを中野市に誘致するなど、地域の活性化

に力を注いでいました。私は、一度市長室というところへ行ってみたいと思っ

ていたものの、実現しないまま彼は逝ってしまいとても残念です。

彼は、中野市の北信総合病院で胆石の手術をし、手術は成功したものの翌朝

突然に呼吸不全を起こし、数日後に亡くなりました。それは何と、彼の還暦の

誕生日その日だったのでした。この突然の死は、原因不明ですが彼の肥満にも

原因があったと推測しています。肥満からくる睡眠時無呼吸症候群のせいかも

しれません。

突然の死が、彼の仕事と未来への夢を打ち砕きました。しかし、彼は市長と

して立派な仕事をし実績を残し、私達の心に彼との幸せな交流の思い出を残し

てくれました。わが友青木一君のご冥福を祈りたいと思います。(完)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆≪学年だより≫☆☆☆☆☆☆☆☆

高校21回の学年幹事、箕輪和子(旧称、大日向)様から、5月23、24日

に長野で開かれた卒業40周年同期会について寄せていただきました。

当日は、ご開帳の最中でさぞかし賑々しかったと思います。

また東京長高会の春の講演会とも重なってしまいましたが、多数の同期が出席

して思い出深い同期会となったようです。なお、箕輪様には学年幹事として当

会にもご尽力いただいております。

 

 

 

21回、卒業40周年記念同期会

 

 

 

21回、箕輪和子(旧称、大日向)

 

 幹事長 池田(宮島)京子さん、事務局長 内田秀人君を中心に、20名の幹

事が昨年より準備をすすめ、「集い、語らい、遊ぶ」をコンセプトに、女性9

名を含み約70名が集い523日・24日に晴れやかに開催されました。

 

第一部「集い」:長野高校同窓会館にて記念セレモニーが1時より、松沢すみ先

生、松下勲先生をはじめ、塚田同窓会会長(6回)中村現校長(24回)丸山

同窓会事務局長(6回)に御臨席を賜り、横山(高野)恵さんの司会により

開催されました。 

先ずは、ご逝去された先生4名と同期14名に黙祷を捧げた後、松沢先生よ

り御詞をいただきました。「つかいみとり、にぎりとり、大きな落胆もあり、

大きな希望も持った高校時代をもう一度思い返し、これからのよすが」とし

「大きな希望、元気、喜びで胸を一杯にして、又、お会いしましょう」と、

83才(先生は、お歳はいくつって聞かれるの大嫌い、聞かれても答えない

のっておっしゃってましたが)の今も変わらぬ美しさと軽妙洒脱な語り口調

に、一同大いに励まされ、いつまでも美しく若々しく過ごす秘訣を学ばせて

いただき、感動しました。

松下先生は73才になられ、昨年春の叙勲で教育功労の瑞宝章を受賜されま

した。学園紛争時の我々の卒業式の話に青春の日々を懐しく思い出しました。

 

第二部「語らい」:星野実君が支配人をしている湯田中「湯香里荘」を全館貸切

りとして、懇親会が4時半から、中野市長になった小田切君の「58年間お

疲れ様。もう少し生きてください」との音頭で乾杯し、倉島(本藤)圭三君

の司会で始まりました。

野球応援歌と校歌を、兼沢博夫君の指揮で斉唱し、ひき続き二次会会場及び

カラオケルームにて、尽きることなく湧いてくる思い出話、興味尽きないそ

れぞれの40年の来し方に、語らいは終わることを知らずに続きました。

 

第三部「遊ぶ」:翌日は、バスが二台用意され、ゴルフ組が1台早目に、もう1

台はゆっくりの朝食後、ミニトリップへと出発しました。

「信濃ゴルフ倶楽部」でのコンペは、加藤章君、北村文幸君、宮島和夫君、

山岸正人君が担当幹事を務め、紅一点で参加の高橋(武井)むつきさんを含

め、17名で開催されました。

前夜3時も過ぎる歓談がたたり、実力発揮ままならずの面もあったようです

が、夜半の雨も朝には上がり、優勝金子覚君、準優勝田中良明君を以って、

無事終了となりました。

 兼沢博夫君が幹事を担当し、菊地健造君の企画により、田中博物館長直々

に案内説明をいただきながら、「須坂クラシック美術館」「まゆ蔵会館」「笠鉾

会館」を巡りました。

「田中本家博物館」見学後、田中本家の明治の母屋の二階座敷にて、豪洒な

庭を楽しみながら、須坂藩の殿様に出した食事の記録資料より再現した殿様

弁当を堪能し、参加19名のミニトリップは終了しました。

 それぞれに素敵な大人の良い「遊び」の時間を過ごし、心充たされた思い

の中で、次回の必ずの再会を約束しあいました。(完)

 

★★★★★★★★春の講演会を聴いて★★★★★★★★

春の講演会では、第一部は山口芳泰様(34回卒)、第二部は北澤宏一様(14

回卒)から多忙にもかかわらずご講演いただきました。

今回はメルマガ編集委員の柳町明敏が、この2つの講演内容を聴いた感想を書

きました。

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(講演内容)

第一部

山口芳泰様「日本の企業法務と将来の弁護士像

同氏は弁護士で、早稲田、東京大学法学部、スタンフォード大学ロースクール

を卒業(J.S.M.)し、TMI総合法律事務パートナーとして企業合弁・買収、

プロジェクトファイナンスの専門家として活躍中です。

(感想)

山口様は証券会社に勤務したこと、留学したスタンフォード大学ロースクール

での専攻したこと等から企業法務の専門家として活躍するようになったとのこ

とです。

企業法務とは、企業活動の法務面を支えるだけでなく積極的にプロジェクト

を提案し参画して収益活動に寄与することも含まれると、長野オリンピックに

参画した経験を例に引いて話されました。

また、グローバリゼーションが企業活動や会社法にもおよび、企業の合弁、買

収あるいは吸収、株主の保護、小数側の保護など企業が直面する法務関連が複

雑になり、さらに中国関係も加わって企業内の法務関連の需要が急速に増加し

てきたとのことです。

コンプライアンスがうるさく言われるようになったことに加え高収益を上げる

方法が複雑となり、法曹関係者が企業活動に積極的に関与する時代になってき

たと実感しました。

 

第二部

北澤宏一様100年に一度の危機は100年に一度のチャンス ―― 日本の21

世紀技術体系への転換 」

同氏は東京大学工学部を卒業した高温超伝導の第1人者で、2007年には日本科

学技術振興機構理事長に就任されています。

(感想)

日本科学振興機構はJST(Japan Science Technology Agency)と関係者から呼

称されている独立行政法人であることは薄々知ってはいましたが、日本の将来

にとって重要な使命を持っていることが、この度の講演からよく理解できまし

た。

 その役割とは、日本経済が直面していた限界を打破し21世紀の新たな成長

構造を作りだしたことでした。

戦後日本の経済成長は産業界のプロセスイノベーションが主な原動力でしたが、

韓国や中国などの経済新興国に生産プロセスの多くが移転され、21世紀をど

のように展望するかが日本経済の大きな課題でした。

JSTは、国立大学の法人化と相まって、研究支援費配分の選択と集中によっ

て、それまで弱かったプロダクトイノベーションを育成し、2000年代の半

ばよりその成果が開花してきた、とのことでした。

例えば大学発ベンチャーで見ると、2000年には約100件であったものが

2005年には約1,200件にもなり、10傑は多い順から早稲田、京都、

筑波、慶応、大阪、東京、龍谷、九州工業大学、神戸、日本大学の各大学との

ことで、意外性もあって興味が惹かれました。

貿易を見ると、過去10年にわたり毎年約10兆円の輸出入差益をコンスタン

トに上げ、それに見合う250兆円が海外資産として蓄積してきたとのことで

す。

2005年からは技術差益も数兆円黒字となってきたとのことで、文字通り隔

世の感があります。

 しかし問題点もあるとのこと。

それは人の問題で、ある調査では高校生が「人類にとって21世紀は希望のあ

る社会となると思う」と回答した者の%は、中国89、フランス65、米国63.5

韓国63で、日本では35であった。

別の調査では、日本の高校生の意識は「その日その日を楽しく暮らす」が多数

で将来を明るいと思っていないのではないか。

また中学生を対象とした調査では65%が「お父さんお母さんは生き甲斐を持

っていない」と回答したとのこと。

こうしたことからJSTは国民と若者向けて、人生をかけるに足る挑戦的テー

マを提示する活動をしているとのことです。

また、日本政府と地方政府が抱える約1,000兆円の借金も問題で、これらの借

金は国民が政府に貸している形で、結局は、国民からの税金で穴埋めすること

になるのではないか。

バブル経済がはじけ、プロダクトイノベーションが実って更に国際収支の黒字

が続いてはいるが、その構造はグローバル企業だけがハッピーとなり、国民と

政府には暗い影が落ちているのではないか。

最後の課題はJSTの課題としてより、我々一人一人の課題として受けとし

ました。

我々同窓の中に、日本の将来を担う重要な仕事を現役で担われている北澤先輩

がおられることを誇りに思いました。

 

※※※※※※※※※※≪幹事会だより≫※※※※※※※※※

定例の学年幹事会と秋の講演会が9月18日(金)に虎ノ門パストラルにて開

催されます。

学年幹事会では、125日(土)に銀座東武ホテルで開催が予定されている総

会の議案について打ちあわされます。

引き続く講演会では講師として、昨年で最高裁判事を退官された才口千晴様(9

回)と、このメルマガにも投稿いただいたことのあるジャーナリスト・キャス

タ―・信州大学経営大学院客員准教授である三神万里子様(42回)を予定して

います。

詳細は各学年幹事経由で連絡いたしますが、学年幹事会は17時30分から、

講演会は18時20分から開催されますので是非ご参加ください。

 

**********************≪編集後記≫*********************

この6月号は、いろいろありまして7月に入ってから発信することになって

しまいました。

心待ちにされている皆様には心からお詫び申し上げます。

また、お忙しい中ご寄稿いただいた窪田彰、箕輪和子氏にはこころより御礼申

し上げます。

ご両人の原稿を拝読して、我ら東京長高会同窓の根っ子は、言い古されてはい

ますが、やはり「ふるさと」と「友」であると実感しました。

5月23日の懇親会で、2回の滝口久様から当時の応援団メンバーの古い写

真を見せていただきました。驚いたことに何と戦闘帽をかぶった人も写ってい

ました。

こうした先輩諸氏の記憶をこのメルマガに留めることができたらと密かに思っ

ております。

現在、配信先は500件を超え、偶数月末に配信しています。同窓の皆様にお

伝えしたいことがあれば是非ご連絡ください。

 

 

2009630

編集長:小池俊介

編集委員:左治木幹夫、榎本功子、柳町明敏

 


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